ローフードにはどんなものがある?

スタジオ・ヨギーでもバレンタインの時期に販売したことのある、ローチョコレートのお菓子「namakiss」。チョコレートを火を使わずに作れるのでしょうか? ローチョコレートは、動物性乳製品、白砂糖不使用のヴィーガン・チョコレートでもあります。カカオビーンズはローストせず、全行程を48℃以下で作るそうです。

まったく火を使わない、というよりも、酵素が死なないぎりぎりの温度48℃以下でなら、加工するんですね。

ロースイーツのほかに、ローフードには、コールドプレスジュース、スムージー、ジャーサラダ、ラップサラダなど、よく目にするおしゃれなフードばかり。

ローフードで体を冷やさないのでしょうか。アーユルヴェーダの観点で、ローフードについて、新宅先生にお話しを聞いてみました。

――アーユルヴェーダでは、ローフードはどう考えられているのでしょう?

アーユルヴェーダは特別な食事法はすすめておらず、ただ、食事は食べる人にとって消化しやすく、心と身体を滋養する、慣れた食事、美味しくて満足する食事をすすめています。

ローフードだけでなく○○食事法とこだわりが強くあると、偏りが出て長く続けると無理が出てくるのではないかと考えます。

生まれてから大人の身体になる成長期を過ぎたら、異化作用が進んで老化現象が現れてくるので、年齢のステージに見合う食生活が必要で、それは人生を幸せに豊かに生きるためには大切なことだと思います。若い人が無月経になる食事をしているのは、その人の将来を考えると大きな問題だと思います。

食事は毎日食べるものだからこそ、「流行、おしゃれ、ブーム」という現れては消えてゆくものに囚われずにいたいものです。

アーユルヴェーダの食事の考え方は「何をたべるかではなくどう食べるか」ということを大切にしています。「何を食べるか」は食材、「どう食べるか」は食べる人のことです。

どんなに良い、と言われているものでも、それを食べる人の消化して代謝する力(アグニ)が正常に働いていなければ身体を養うことは出来ないし、負担になることも生じます。

調理法では、加熱調理だけでなく、攪拌する、水などに浸す、熟させる、切り方、特別な器に入れた保存方法、一定の時間おく等々あります。調理法によって消化しやすくなるように、体内で滞ることがないように、ちゃんと代謝されスムーズに排泄されるように、おいしく満足感がある食事を食べるためです。

また、過剰な加熱はすすめていません。味、香りが損なわれ食材の精髄が失われるからです。何度も温めなおしたものは、味にも変化があり消化に時間がかかるのを体験していると思います。

アーユルヴェーダの考え方の中からローフードの考え方に合うものを見つけて少しご紹介しますね。

生で食べることをすすめている物にハチミツがあります。完熟のフルーツもそのままがおすすめです。

生野菜のサラダは油質、塩味、スパイスをプラスして食べます。ドレッシングをかけるのは◎。でもお腹が冷えてくるような量を食べたら消化に負担となります。消化不良、下痢や便秘がないか要チェックです。

慣れた食事をすすめているアーユルヴェーダですから味噌、醤油、酒、みりんなどの醗酵調味料もおすすめです。醗酵の方法は上記の調理法の「特別な容器にいれて一定の時間おく」にもつながっています。糠漬けも同様で糠床に野菜を漬けて一定の時間おくと野菜に糠床の油分、塩分等がプラスされ食べやすくなります。

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アーユルヴェーダでは、食べる人の状態がまず大切で、おいしく食べるため、食べ物の力を損なわないために、いろんな調理法をおすすめしているんですね。生食による体の冷えをチェックする方法もわかりました。いずれにしても、ヘルシーといわれているものでも、自分の体の状態をみながら、取り入れることが大切なんですね。

お話 アーユルヴェーダ講師 新宅あきえ/企画・編集 七戸 綾子