日本人が生み出してきた文化や伝統に見られる“粋” と呼ばれる洗練の“間と姿” 。
日本人ならではの繊細で丁寧な“モノ作り” 。
そんな「和」の真髄を引き継ぎながら新しい世代のクリエイターたちが作る“モノ” から
見えてくる「和=日本」の魅力とは?

D-BROS

ペタンコのビニールが水を入れると花瓶になる“フラワーベース”、まさに果物そっくりな“クダメモ”など、ユニークだけど実用的で、デザインとしても秀逸と話題を呼んでいるモノ。これらは、広告とグラフィックを手掛ける会社DRAFTが生んだデザインプロジェクト「D-BROS」によるプロダクトなのです。

デザイナーの一人である天宅正(てんたく・まさし)さんによると、「D-BROSが作るのは何かと何かの“間”のもの。二次元と立体の“間”、おもちゃと道具の“間”。ジャンルとしてきちんと分けられないものを形にするのが私たちの軸となるところ」。

今までにない発想で生まれたモノたちは、東京ADC賞、ニューヨークADC賞、グッドデザイン賞などで高い評価を得て、日本国内のみならず、ニューヨーク、パリ、ミラノなどの店でも扱われ、今や世界中にファンを持つほどに。

現在プロジェクトを担っているのは4人のデザイナー。それぞれが自分の持ち味を活かしたプロダクト創りをしているとのこと。その中での天宅さんの味を聞くと「とんち」という答え。「ちょっとした仕掛けによって、使う人がほくそ笑んだり、感心したり。普通は感情を持たずに使う道具を、楽しいと思って使ってほしくて」。

KUDAMEMO

「分厚い本を見ていて、表紙と裏表紙を合わせて1回転させたら立体になる」と、天宅さんのある日の気づきで生まれたブロックメモ。驚くほどリアルだけど、ちゃんとしたメモ。パッケージは実際に果物を包むクッション材が使われていて、どこまでもユーモラス。印刷以外は全て手作りで、枝の部分も天然素材。
リンゴ、ヨウナシ各¥2,000

FLOWER BASE MINI

すでに25以上ものデザインを発表してきたビニール製のフラワーベースはD-BROSの代表作。小さなブーケの人気に合わせて誕生したミニの新色は天宅さんもデザイナーとして参加。あくまでも花が主役のはずの花瓶をこんなに派手にしてもいいの? 「どう花を飾ろうかと花瓶と対話をしてもらいたくて。みんなじゃなくても遊び心を持ってくれる人がいれば」。
2枚入り¥1,000

CREATOR'S DIARY

DRAFTのデザイナーたちが自分たちのために手作りで作っていたスケジュール表を2004年に商品化したもの。1年分のスケジュールが1枚で繋がったジャバラ折りのダイアリーで、長期のスケジュール管理が必要となるクリエイターの間で大ヒット。以前、天宅さんが手掛けた表紙の型押しデザインは現在のダイアリーにも引き継がれている。
レギュラー¥2,800、ミニ¥2,600

BOOOOON!

「OPEN」をひっぱると、破れた跡が乗り物の煙に早変わり。いつもなら、開けるのが煩わしくて、開けた後はゴミとなるものなのに、なんだかワクワクする。そんな気持ちを載せて、車、飛行機、機関車が勢いよく発進する音からネーミングされた封筒は、まさに「とんち」から生まれたプロダクト。
3柄各1枚入り¥1,000

*価格はすべて税抜きです。

撮影 野頭 尚子 / 編集・文 横山 直美