よく通るパワフルな声と無邪気な笑顔。毎年シカゴから来日されるトモコ先生のクラスは、「元気になる!」「エネルギーが湧いてくる」と人気です。そんなトモコ先生自身のエネルギーの源は? 
「学びは活力」というトモコ先生に、これまでの学びの軌跡を語っていただきました。

ミュージカルからヨガへ

──トモコ先生は、もともと日本でミュージカルに出演されていたそうですね。

ええ。でも、ダンスが苦手だったので「ニューヨークに行って磨いて来い」と先輩に言われたんです。ニューヨークでは、ダンスの学校に通いながら健康道という治療院で真向法(まっこうほう)のアシスタントをしていました。

真向法というのは、日本の長井津(わたる)先生が第二次世界大戦後に考案した健康体操で、3つの前屈と1つの後屈を合わせた4つだけのシンプルな体操です。当時の私は「これなら私でも教えられる!」と思いました。でも、16年ぐらい続けていますが、まだまだ奥が深いですね。「4つしかないけど甘く見ないでね」と先生に言われたとおり(笑)。その治療院では真向法と指圧を勉強しました。ダンスをしているとケガが絶えず、「癒す」ということに関心を持ち始めたのもこの頃です。

──その後、ヨガに出合ったきっかけは?

ダンスは大好きだったのですが、競争の激しい世界に疲れてしまうことがありました。仲間もお互いにライバル同士ですからピリピリしていましたし、ニューヨークという街は私にとって刺激的な街ですが、エネルギーが強い感じで気の抜けないところでした。そんなときにヨガのクラスに行き、シャヴァーサナの虜になったんです。


この大都会でまったく知らない人たちが無防備に横になって安らいでいる……その穏やかな光景が、私にとってはすごく自然なものに感じられて「こんなところにオアシスがあったんだ!」と感動しました。それ以来シャヴァーサナがしたくて1日に2~3回通うようになり、「そんなに好きなら人にシェアしてみたら?」とすすめられてティーチャーズトレーニングを受講しました。

──ヨガについて学ぶのは楽しかったですか?

すごい劣等生でした。その頃は英語力があまりなく、ノートをとるのが精一杯で。先生に何度も「できません。もう辞めます」と相談していたぐらいです。

ただ、ダンスや指圧の勉強をしたときもそうですが、私は体のことに関してはすごく興味があるんです。筋肉の名前などは未だになかなか覚えられないけれど(笑)、解剖学や運動学の本を眺めたり、経絡の本を読んだりするのは大好き。

人間の体の仕組みって素晴らしいですよね! 知れば知るほどよくできているなあと感動し、もっと学びたくなります。こんな素晴らしい構造を生み出すことができるのは、神様しかいないんじゃないかという神秘的な気持ちにもなります。

後編へつづく

取材・文 古金谷 あゆみ このインタビューは、「スタジオ・ヨギーのある生活」 vol.24(2013年1月号)に掲載されたものです。