――あなたにとってのArt of living とは?
ジェーン いい言葉ですよね。私がこの言葉を聞いて思い浮かべるのは、『人生の何に価値を見出すか?』というテーマなんですよ。だから、私が今やっていること=体や心を癒やす仕事と、なぜそれをやっているかについてお話しますね。
私はスタジオ・ヨギーでアシュタンガヨガを教えるインストラクターの1 人ですが、もともとオーストラリア・メルボルン郊外の街に生まれ、子どもの頃から「癒やすこと」に興味を持っていたんです。それも、西洋医学の、薬の力で押さえつける方法ではなく、人間が本来持つ治癒力を発揮させる方法。私が育ったオーストラリアでは、何か病気になった・例えば風邪をひいたというようなとき、もちろん病院に行ってお医者さんに薬をもらう、という人もいるけれども、日本ほど多くはありません。メルボルンではハーブや自然療法も盛んなので、西洋医学ではない方法をまず当たってみる、という人もかなりいます。日本に来てびっくりしたのは、あまりに多くの人が西洋医学のお医者さんに気楽にかかっていることです。ティーンの頃から近所のカイロプラクターの治療院で治療の手伝いを始め、その後に高校で自然療法(Bachelor of Naturopathy)のコースで学び始めました。自然療法のコースは、日本に引っ越してきちゃったので、終了はできなかったのですが、再開して勉強中です。

手紙を手にした瞬間「私、彼と結婚する」と分かった

――ジェーンさんが日本に来たのはなぜですか?
ジェーン 結婚したから(笑)。26年前になりますか、私、学生がよくやるように7ヶ月の世界旅行に出かけたんです。インドを経由して日本にも立ち寄って、友だちの友だちとして主人に出会ったんです。オーストラリアに帰国して半年後、彼から手紙が届いた。その手紙を手にした瞬間、手にビビっとしびれのようなものを感じたんです。その時初めて、自分が彼に恋をしていることに気づいて。と同時に、手紙を開封する前に『この手紙で彼は結婚を申し込もうとしている』と分かったんです。ハートの力が手をしびれさせ、自分の本当の気持ちに気づいた。

――ロマンティックな逸話ですね。
ジェーン 恋愛でも、自分の体が受け取ったメッセージをちゃんと理解することが大事なのよ。彼は日本で事業をやっているので、結婚する=日本に来る、ということ。逡巡はありました。最初はプロポーズを断った(笑)。でも結局出会いから3年後に結婚して、それから日本に住んでいます。子どもの頃から一貫して体と心、体が自己治癒力を発揮して治るシステムに興味があって。ヨガもその一環で始め29年。最近、自分の中でいいバランスを見つけられたと感じています。

こちらがセッションをおこなっていても、実は癒されることもある

――昨年から個人的に、催眠療法(ヒプノセラピー)をやっているとか?
ジェーン ずっと以前からドロレス・キャノン氏の著作を読んでいたんです。ドロレス氏は“ サブコンシャス”などと呼ばれる高次元の人たちと接触し、80 歳を超えたいまでも精力的に執筆、講演、研修を続けています。10年ほど前から自分の方法を人にも教え始めたんですが、私も彼女の催眠療法を学んで、半年前からセッションを行うようになりました。催眠療法を受けるクライアントの方は、自分の人生や健康上の問題などの原因・根源を探りたいという目的の人が多いけれど、セッションを行う側にいる人も、受け取っているものがあるんです。

――具体的に言うと?
ジェーン これは本当に不思議なんですが、セッションの最中に、催眠状態のクライアントの方が、私に対するメッセージを言うことがあるんです。例えば、私は実は心配性なんですが、脈絡なく『そんなに心配しなくてもいい』という言葉をクライアントの方が発したり。そういうとき、さっと腕に鳥肌が立つんですよね。体が『これは大事なメッセージだよ』と教えてくれているんだと解釈しています。こういった経験がわたしのArt of Living、人生の価値をゆっくり変えていってくれいます。日本語でちゃんと言葉にすると……『絆』でみんな繋がっている、ということだと思うんです。わたしたちがどう人と接するか、は、自分に還ってくるんです。
This is about how we respect ourselves and other people because we are all connected!

撮影 野頭 尚子 / 文 山祥 祥子