ピラティスインストラクターのヒロミです。

ピラティスは、体に正しい動きを身に着けていく「体の再教育」メソッドです。私たちは長年、自分にとって都合のよい動きを繰り返すことで、体にとっては正しくない、誤った動きを繰り返し、パターン化してしまっています。その誤ったパターンを修正するのがピラティスなのです。

フローピラティスでは、決まった数の、決まったエクササイズを、決まった順番で動いて行くので、自らの誤った動きのパターンや新たな体への気付きを見出しやすく、結果、ひとつひとつのエクササイズの動きも洗練していけるため、ステップアップは十分に可能ですし、流れる様に動いて行くのでスタミナもついてきます。

そこで、「動きを洗練させる」という具体的な例を挙げると、ハンドレッド。

腕は単に力任せで振ることなく、鎖骨を横に長く開き、肩甲骨と肋骨を繋いで両腕を振っている。

脚は太腿の前側を主に、アウターマッスル(外側の筋肉)で脚をリフトさせるのではなく、内腿と坐骨、踵のラインを繋ぎ、まるでお腹が脚の始まりの如く両脚を持ち上げ続けましょう。

両脚をまっすぐに持ち上げるのがきつい場合は膝を曲げ、“テーブルトップ”にしておこなってみましょう。おなかから脚先までの長さが短くなることで、腹部のインナーマッスルにより集中して動けますよ。

そんな、一見同じ動きの形を作っていても、それを成立させている筋肉や骨の動かし方ひとつで、例えば、胸が開いて猫背が解消できたり、内腿を使えることで脚のラインが綺麗になる等のピラティスの効果が体へとフィードバックされます。つまり、ピラティスでは、こうした動きの質の違いを身に付けて行くことが、“動きを洗練させる”という意味に繋がるのです。

このように、「エクササイズを追うのではなく、自分で考えながら、より質の伴った動き」を完成させて行くことで、もう何年も慣れ親しんでいるエクササイズでも、新鮮に・斬新に感じて動くことができますし、「飽きる」という感覚はもちろんなく、「呼吸もムーブメントの一部」と思える高い意識が芽生えてくるようにもなります。

以上を踏まえ、指導者の立場として「ただのエクササイズではない、ピラティスエクササイズとして共感する」ための指導を実際の現場でも心掛けていますが、レッスン後「同じエクササイズとは思えない程の新たな内の動きを発見できた」という感想をいただけると、意図するところのピラティスを共感できていると嬉しくなりますし、そうしたお声はその方ご自身がフロークラスを継続して受講している故のステップアップしている証とも捉えています。

「振り付けではない、一歩先の質の高いピラティスムーヴメントを習得する」というモチベーションで臨むことで、ピラティスの魅力を毎回わくわくしながら再発見しましょう。

文 ピラティスインストラクター ヒロミ/編集 七戸 綾子