「寝たまんまヨガ」を考案したヨガインストラクターのキミ先生に、「寝たまんまヨガ」をすることで、肩こりや腰痛に効果があるのか聞いてみました。

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本来、体には治癒力がそなわっています。しかし、日常生活で緊張やストレスを抱えたままにしていると、治癒力を引き出すことが難しくなります。「寝たまんまヨガ」やヨガでは、体と呼吸と心の3つの層に働きかけることができるので、治癒力を目覚めさせるお手伝いをすることができます。

治癒力をうまく働かせることができない原因には、ストレスも含まれます。ストレスには、季節の変化のようなものから、引っ越しや環境の変化、そして、否定的な感情を感じたことなどが含まれます。しばしば、「ストレスが溜まった」という言い方を聞きますが、確かにそれらのストレスが続いて、心身の切り替えができずにいると、自律神経のバランスが乱れ、本来持っている治癒力をうまく働かせることができません。

自律神経は、呼吸や心拍数、さらに血流や消化という、私たちがふだん意識することのない生命の機能を司っています。自律神経には、交感神経と副交感神経があり、それらのバランスによって体が良い状態に保たれています。

私たちが緊張したり、ストレスを感じると、交感神経が優位になって、血管が収縮し血圧が上がり、結果、筋肉にもこわばりができてしまう。つまり、自律神経の乱れが、肩こり、腰痛の原因にもなるのです。

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さて、あなたの自律神経は乱れていませんか?
自律神経が乱れているかどうか、チェックしてみましょう。

【こんな不調に心当たりはありませんか?】
「病院に行くほどでもないけれど、なんだかスッキリしないなあ」と感じることは誰でも経験があるものです。たとえば、次の項目に思いあたるものはありませんか?

□ 頭が痛い・すっきりしない
□ 首こりや肩こりがある
□ めまいやふらつくことがある
□ 眠れない・眠りが浅い
□ 動悸がする
□ なんとなく胃が重い・食欲がない
□ 便秘や下痢をする
□ 原因不明の腰痛がある
□ 乗り物酔いしやすい
□ 考えがネガティブになりがち
□ とくになにもしていないのに疲れやすい

その不調は、自律神経の乱れが原因かも?
「自律神経」の働きが乱れると、私たちの身体には前述のようなちょっとした不調が現れます。――『聞くだけでぐっすり眠れて疲れがとれる 寝たまんまCDブック』より

いかがでしたか?
自律神経の乱れと腰痛や肩こり、これらの関係性に関して、もう少し伺ってみました。

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自律神経の乱れをチェックするリストの中に、肩こりや腰痛のリストがあるのは、自律神経の乱れにも大きくかかわっているからです。日々のストレスによって、自律神経が乱れることは仕方ないことだとしても、乱れたままにすることは問題です。

肩こりや腰痛などのこわばりをほぐすには、ウォーキングやヨガなど自分で行う運動と、マッサージや整体にいって人に施術してもらう方法があります。まずは、どちらの方法でも良いので、バランスを崩す前に早めに対処していただきたいですね。マッサージや整体は、疲れて自分で体を動かすことが億劫な場合には有益です。もし自分で体を動かすことができるなら、運動は、こわばりがほぐれるだけでなく、運動不足を解消し、筋力もつき、心肺も強くするので健康に大きく貢献することができます。

しかし、マッサージに行く時間も、自分で運動する時間もない、という方には眠りに入るときに、「寝たまんまヨガ」を行うのがおすすすめです。「寝たまんまヨガ」は、ベッドや布団の中で横になり、体を動かさず、ナレーションに従って体のいろいろ場所を意識を向けていくものです。意識することで、体とつながっている脳をリラックスさせていくのです。

脳は体のさまざまな場所とつながっていて、体の各場所の大きさと脳に占める割合というのは、比例していません。人は、手を使って細かい複雑な仕事をできるのは、脳に占めている割合が大きいからなのです。

「寝たまんまヨガ」が脳のリラクゼーションと言われるのは、体のすみずみを意識して、リラックスすることで、その体の場所とつながる脳もリラックスするから。ちなみに、自律神経に唯一意図的に働きかけることができるのは呼吸です。「寝たまんまヨガ」では、呼吸も意識するので、呼吸を通して自律神経にまで働きかけることができます。

呼吸=息と書きますが、呼吸のリズムは自分の心の状態が投影されます。呼吸が整うことは、心の安定にもつながります。つまり、「寝たまんまヨガ」では、こわばった筋肉や神経、脳がリラックスするだけでなく、呼吸や心までリラクゼーションが広がっていくのです。

もし時間のゆとりがあれば、少し体を動かしたり、あるいはヨガをしたあとに「寝たまんまヨガ」を行うことができれば、クールダウンにもつながり、リラックスが深まり、相乗効果が得られますよ。


→アプリで体験「寝たまんまヨガ」
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お話し ヨガインストラクター キミ/編集 ヨギー・マガジン