お悩み:

「自分と向き合う」とはどういうことでしょうか? わたしは、一人でいる時間が圧倒的に多いのですが、かといって自分に向き合えていると思えません。

自分に向き合うには具体的にどうするとできますか? 自分に向き合えていないと、どんなデメリットがあると思いますか?



答えのヒント:

「自分と向き合う」とよく見聞きしますが、分かり易い表現でもあり、捉えにくい表現でもありますね。



おっしゃるように、一人でいることと自分と向き合うこととは異なります。明らかに自分自身と一生を過ごすわけですから、興味の対象としたいところです。自分と向き合うという表現は、自分をより知ろう、把握しようとする内的でありながら積極的な態度を示しているでしょう。

例えば自分の行動や言動、思考や感情(の選択や癖)に注意を向ければ、それがたとえ楽しい作業ではないにしても、自分がより近しい存在に感じられるでしょう。

社会や人との関わりの中で何らかのリアクションが起こりますし、それはパターン化することも考えられます。



「気づき」という言葉もよく耳にしますが、それを自分に向ければ自己認識力となるでしょう。どの様な表現であれ、自分の心の経験そのものを味わうのではなく、その仕組みに目を向けるのです。そこから、自分が抱く人生の価値観を明確にするという発展もあるでしょう。



何かを直そう、手を加えようとする前にただ認識を試みます。

知ることは興味を持つことです。

知ることは怖いことでもあります。

知ることで自由に導かれることもあります。

自分を認識せず、興味も持たずに生きることはどれほど可能でしょうか?

培った(培ってしまった)パターンだけで人生を過ごしてしまえば、やや表面的に人生を経験しているのかもしれません。



過去や現在において起こったこと、起こらなかったことだけでなく、自分の感情の経験、そしてそこから生まれる自分の反応などを観察してみましょう。意識を向ければ、何かが変化し始めます。パターンに気付けば、それを続けるか変えるかの選択肢も生まれます。



例えば悔しいという経験をする時、悔しさの原因だけにフォーカスしがちです。悔しさの感情のエネルギーに自分が飲み込まれることもあります。感情そのものに善悪のラベルをつけてしまう前に、その下に隠れているかもしれない自分の声に耳を傾けましょう。そして悔しいという感情を持つ自分に一歩近づく・・・そんなふうに始めてはいかがでしょうか?



向き合うとは、それを興味ある対象にすることです。

客観的な視点を持つことで、再び「ひとつ」になるのでしょう。



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文 ヨガインストラクター ヤスシ/編集 七戸 綾子