ピラティスインストラクターのキョンシッです。

ピラティスのエクササイズには必ず、「エクササイズを行う目的(オブジェクティブ)」「どの部位を鍛えるのか(マッスルフォーカス)」といったものが定義されています。
これらはエクササイズを行う上で、安全に、かつ、しっかりとした効果を上げるために必要なポイントとなります。

それでは、「ロールオーバー」の目的(オブジェクティブ)、鍛える部位(マッスルフォーカス)はどうなのかをみていきましょう。

オブジェクティブは、脊柱結合の調整、腰椎のストレッチ、ハムストリングスのストレッチになります。
これをわかりやすく言い換えると、「背骨ひとつひとつの滑らかで安定した動きをつくり、とくに腰および太もも裏側の伸展(伸び)を目的とする」となります。

マッスルフォーカスは、腹筋群

そして「ロールオーバー(Roll Over)」の意味は、「ロール(巻く)」「オーバー(超える)」

これらをまとめると、「腹筋を使って下肢、臀部、腰部、胸部(の一部)を巻き上げていく」という動きになり、最終的に下肢(足)が頭を超える(オーバー)という形になります。

ロールオーバーを行う時のポイントは、後転(足、お尻、腰を巻き上げる動作)の際に勢いを使って足やお尻を持ち上げないこと。そして、腹筋をくぼませ(スクープ)、腰椎を最大限に屈曲すること、後転の際は股関節の角度を直角に保つことにあります。

とくにお腹が膨らむと、それ自体が後転の邪魔になります。くぼむ=凹む、つまり足を支えている根元にスペースができることで足が頭の方に倒れてくるわけです。けっして足を動かすわけではないんです。木の根元を掘ると、掘った方に向かって木が倒れてくるのと同じ理屈です。

すこし、見方を変えてみましょう。

ロールオーバーとほぼ同じオブジェクティブ、マッスルフォーカスのエクササイズがあります。
代表的なエクササイズだとスパインストレッチオープンレッグロッカーです。

イメージしてみてください。

スパインストレッチで上半身が前屈した時の背骨の形は、ロールオーバーのフィニッシュの時に似ています(上肢の位置は無視してください)。

オープンレッグロッカーは、転がるのではなく、腰椎を丸める(屈曲する)ことで体が後ろに倒れていき、背中がマットにおりる動きです(腰椎屈曲のまま背中がマットにつくので結果的に転がる動きになってるわけです)。これは、まさにロールオーバーの時の動きと一致します。

つまり、スパインストレッチやオープンレッグロッカーが正しくできるのであれば、理論上は、ロールオーバーもできるということです。この事実は、ピラティスを行う上でとても重要なポイントです。

あるひとつのエクササイズは、他のエクササイズを行うにあたっての答えでありヒントになっています。ピラティスのフロー(FLOW)とはけっして動きを止めずに進めるという意味だけではなく、エクササイズ同士の流れ(相関や調和)もあります。

苦手なエクササイズがあるとどうしてもそれだけに気持ちがいきがちですが、他のエクササイズをしっかりと実践することで、ある日突然、苦手だったものが出来るようになります。
半信半疑に感じるかもしれませんが、ロールアップもそうじゃありませんでしたか?(笑)
ピラティスって本当に不思議で、面白いですね。

文 ピラティスインストラクター キョンシッ/編集 七戸 綾子