ヨガの教えの中にアヒンサー(非暴力)という言葉があります。この教えに対するスートラ(聖句)はこうです。

非暴力に徹した者のそばでは、すべての敵対が止む。
――ヨガ・スートラ Ⅱ-35

この教えは、 「思い」と「ことば」と「行為」 (意・口・身)において非暴力でありなさいということだそうです。そのうえ、自分自身に対しても非暴力であれと言います。つまりは、自分に無理強いやストレスをかけてもいけないと言うのです。

ムッと苛立ってもいけないし、暴言はもちろんいけないけれど、文句を言ってはいないか、人に暴力振るうことはあまりないけれど、物に八つ当たりしたり粗末に扱ったり、振る舞いが暴力的ではないだろうか。そのうえ、自分にストレスを溜めないなんてできるだろうか。

私自身、一週間の徹底期間を過ごしたことがあります。非暴力に徹する一週間。
惨敗でした。自分がいかに暴力的な人間かを思い知らされる一週間でした。毎日、毎瞬、何かにつけてムッとしたり、イラっとしたり。もしくは、人へのものの頼み方ひとつ、いかに無責任に暴力的に発せられているか…自分の口にびっくりしました。

普段何気ない自分自身の行動を、非暴力と言う言葉を頭において生活してみただけで、本当にことごとく自分の暴力的な態度に「ちょっと待った!」をかけられるのです。そして、こんな私に、よく人は付き合ってくれてるものだな~と恥ずかしくなるほどでした。自分は完璧な人間からはかけ離れているということを、強烈に体験しました。そして、心の底から、「正しくありたい」と思いました。

子育てが始まって出会った詩があります。素晴らしい教えですが、私には苦々しい痛みを思い出させるような詩でもありました。


「子どもは大人の鏡」

子どもは 批判されて育つと 人を責めることを学ぶ
子どもは 憎しみの中で育つと 人と争うことを学ぶ
子どもは 恐怖の中で育つと オドオドした小心者になる
子どもは 憐れみを受けて育つと 自分を可哀想だと思うようになる
子どもは 馬鹿にされて育つと 自分を表現できなくなる
子どもは 嫉妬の中で育つと 人をねたむようになる
子どもは ひけめを感じながら育つと 罪悪感を持つようになる
子どもは 辛抱強さを見て育つと 耐えることを学ぶ
子どもは 正直さと公平さを見て育つと 真実と正義を学ぶ
子どもは 励まされて育つと 自信を持つようになる
子どもは ほめられて育つと 人に感謝するようになる
子どもは 存在を認められて育つと 自分が好きになる
子どもは 努力を認められて育つと 目標を持つようになる
子どもは 皆で分け合うのを見て育つと 人に分け与えるようになる
子どもは 静かな落ち着きの中で育つと 平和な心を持つようになる
子どもは 安心感を与えられて育つと 自分や人を信じるようになる
子どもは 親しみに満ちた雰囲気の中で育つと
生きることは楽しいことだと知る
子どもは まわりから受け入れられて育つと
世界中が愛で溢れていることを知る
――『こころのチキンスープ』  ダイアモンド社より

この詩に出会って、出来ていない自分を知って、それでも「そうありたい」と正直に願うと、そのためには、自分に何が必要で何が必要じゃないかを深く見極めるしかないと気づきます。いつも自分自身が謙虚であることの大切さを知ります。

ヨガでは「~ねばならない自分」「~すべき自分」「~であるべき自分」といったような自分に対するレッテルをはがしなさいと言われる中、非暴力の教えでは「徹する」ことの大切さを説いています。そして徹することの出来ない不完全な自分自身を思い知ったときに、心の底から「こうありたい」と強烈に猛烈に願う。

子育ては、子ども子ども・・・と論点が子どもに向かってしまうこともありますが、私に出来ることは、きっと子どもを育てることではなく、「食べさせる」「着させる」「遊ばせる」・・・その行為の中に「私」という人間がいかに存在しているかを研鑽していくことだと思います。だから、最近よく言われる育児=育自なのだと思います。

上の詩を読んで、「だから私はこう育ったんだ」と「こうなったのは、育ちのせいだ」と思う人がいるかもしれない。でも私たちはもう大人です。いつまでも子どもではありません。

大人の良いところは、願ったように生きられるということ。自分の願いを叶える力があります。私はこんなダメな人に育ってしまったけれど、でも、自分らしく生きるために、親は私に命をくれた。その命を今、生きているのは自分自身だということに気づきます。

非暴力が教えてくれたこと。
それは、自分自身を生きているかということでした。

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文 ヨガインストラクター ミヅホ/編集 七戸 綾子