「旅をするきっかけになったモノ」「旅のはじまりに欠かせないモノ」それを見るだけで、ワクワクしたり想像や行動を掻き立てられるような。人生を旅になぞらえたなら、はじめの一歩を導いた“モノ”があるのではないでしょうか?そこで、クリエイターの皆さんにそれぞれの旅のはじまりを紹介してもらいました。

「モロッコの写真集」横山直美 エディター・ライター

「モロッコに行くことに決めた時、なぜかガイドブックではなくこの写真集を購入。主にホテルやリヤド(古い邸宅を改装した宿)のインテリアが中心なのですが、その配置の美しいこと。中でも、アルガンの木に山羊が沢山登っている写真には『絶対この目で見る!』と意気込みました。今もあの旅を懐かしく振り返られる一冊です。」
Living in Morocco by Barbara & Rene Stoneltie

「エルメスのネクタイ」谷家衛 投資家

「大学4年の就職活動期、大手都市銀行へ入行を決めていました。でも、大きな会社よりも、20~30年前にソニーやホンダに入った方々のように自分の成長と会社の成長が重なる方がずっと幸せなのではないかと思いはじめてめぐり逢ったのが、ソロモンブラザーズでした。入行すると、皆エルメスのタイをしていてとても格好良くて。私もキャリアのスタートに、少し無理をして購入しました。」

「お母さんの梅干しと手紙」佐藤亜輝 ORGANIC PRESS主宰

紫蘇の葉で真っ赤に染まった梅干しは、正真正銘の無添加食品。娘への想いが伝わる達筆の手紙と共に。「毎年、実家の母が漬ける、昔ながらの酸っぱい、しょっぱい梅干し。祖母から受け継がれた母の手作りです。宅急便で送られてくるときには、母の手紙が添えられています。内容には、必ずその時の旬や季節に関することなどが、書かれているんですよね。今の私の『原点』です。」

「ロン・ストナーのサーフ写真集」佐野崇 エディター・ライター

「カルフォルニアへのサーフ・トリップのきっかけとなった写真集。後に失跡してしまった孤高の写真家ロン・ストナーが、1960年のカリフォルニアのサーフシーンの黄金期とその憂いを捉えた傑作。実際にカリフォルニアの海を見たとき、半世紀近く経っても、『波は変わらない』と当たり前ながらに思いました。」
Photo/Stoner: The Raise, Fall, and mysterious Disappearance by Matt Warshaw

撮影 野頭尚子 / 編集 横山直美