山椒は三段活用の植物である。いわゆる「木の芽」は若葉を楽しむもの。初夏に見られる実山椒(青山椒とも)は、ちりめん山椒をはじめ、佃煮や塩漬けになる。秋になると割山椒といって、熟した実がはじけて黒い種が現れる。果皮を乾燥させて挽けば粉山椒。種類は違うが、中華料理の香辛料の花椒もこの段階だ。

しかし山椒の旬は短い。木の芽はたけのこの時期だけだし、5月から6月にかけて青い実がなっても、時機を逃すと真ん中にある種がすぐに固くなってしまう。家にも小さな山椒の木があるにはあるが、どうやら雄木のようで、実がなるのは雌木だそうだから残念。山に住む友人の家の裏庭には、大きな山椒の木があるので、毎年分けてもらっている。

まずは山椒の掃除(小枝取り)から。思わぬ時間がかかってしまうものだが、ここさえ丁寧にやれば、この先の手順は簡単だ。市販のパックに入ったものなら2パックくらいあると使いでもある。大まかに枝や葉を取り除いてから、さらに細かい枝を取り除く。実から出ている5mmくらいの軸はそのままでもいいが、やっているうちに徹底して取り除きたくなるものだ。

掃除を終えた実をよく洗い、塩を少し入れた沸騰した湯の中で10分ほど茹で、ざるにあげておく。水気を切ってから重量を量り、15%の塩と共に、煮沸消毒した保存瓶に入れる。冷蔵庫で保存し、塩が溶けるまで毎日振る。これで1年は保つ。旬は短いが、長期保存出来るのだ。

ちりめんじゃこと一緒に酒、みりん、薄口醤油で煮ればちりめん山椒になるし、きのこや茄子の炒め煮にも合う。鰯をはじめ、煮魚に加えてもいい。ポテトサラダに入れたら合うんじゃないだろうか? 明日やってみよう。

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写真&文 中村 宏子