わたしは秋も早いうちから、青い柿があちらこちらの家々の庭にたわわなのをチェックする。そして赤く色づいて来た柿を眺めては、柿を頂ける訳でもないのに、今年はまずまずだな、などと満足げに眺めている。近くの家に、立派な枝ぶりの柿の木があり、収穫した柿を干し柿にしているのを毎年見かける。二階の物干しには洗濯物も干せないほどの柿が吊り下げられている。

空気が乾燥しているこの季節、わたしも毎年干し柿を作る。干し柿と言っても、かなりの簡易バージョンなのだが。柿を多めに頂いたりして、食べるのに追い付かない時などにはもってこいの方法。まず、あまり柔らかくない柿を四つ割にして皮をむき、5ミリほどの厚さにスライスする。(薄すぎると縮んで紙のような食感になってしまい、おいしくない。気持ち厚めに切る。)それを干物ネットか平らなザルに並べて、なるべく日の当たる風通しの良いところに数日干しておくと、あんぽ柿やころ柿とはまったく別物の干し柿が出来る。出来上がった“スライス干し柿”は保存袋などに入れ、冷蔵庫で保存する。

この干し柿をドライフルーツとして菓子作りに利用してもいいし、白和えやなますに加えてもおいしい。固い柿、少し熟れてきた柿、もちろん品種によって出来上がりの食感も色も違う。噛み締めると、懐かしの肝油ドロップのような味がすると思うのはわたしだけだろうか? さぁ、まずは1個からどうぞ。

写真&文 中村 宏子