むかご。ああ、むかごね。むかごってなんなの? むかご!おいしいよね。むかごとはヤマノイモ(自然薯や山芋)の茎の葉の付け根に出来た、1cmほどの赤ちゃんイモの事である。小粒で地味ながら、力強く野趣溢れる味がする。流通の時期は限られているし、そもそも売っているのを見かけた事がある人自体、少ないのでは? スーパーでは見た事が無いが、八百屋か産直のようなところにならあるかもしれない。

むかごが手に入ったなら、まずはむかごご飯は外せない。米2合にむかご200gほど、塩は小さじ1。水加減も普段通りで、お酒は入れても入れなくても。炊きあがったらバターを少々落とすといっそうおいしい。から煎りしたちりめんじゃこを入れても香ばしい。他にも、塩ゆでにしたり揚げたりする調理法があるようだが、あまり手に入らないのでご飯に炊き込むのが優先になってしまい、乙な味わい方を試せないでいる。

子どもの頃は東京でも、空き地のフェンスにからまっていたりしたものだが、最近は本当に見なくなってしまった。少し郊外ならば、ハート形の葉を持つ蔓が他の木に寄生しているのを見る事が出来る。葉も黄色く紅葉するので、晩秋のこの時期なら見つけやすいかもしれない。さぁ、今季2度目のむかごを探しに八百屋を巡ろうか。

写真&文 中村 宏子