大根が安くておいしい季節だが、大根まるごと一本となると、少人数の家庭ではけっこうな量である。使い切れない分は3cm厚さの半月、もしくはいちょうに切って数日干しておくのも手だ。軽く干しただけなのに、煮物にしてみると生から煮たものとはまた違ったやわらかい食感になる。元々は、我が家の小さな冷蔵庫事情から始まった策なのだが。

薄切りや拍子切りにして干せば切り干し大根のようにもなるし、薄切りにした大根に旬の出会いものである柚子や干し柿を合わせた甘酢漬けを作るのも、わたしの冬の楽しみである。大根は皮付きのまま2mmの厚さにスライスする。半月になってしまっても、厚すぎるよりは薄い方がいい。これを干し物ネットかザルに広げて、しんなりと半乾きになるまで1〜2日干す。

中に巻き込む具材は柚子の皮と干し柿(vol.37『柿を干す』参照)。あっさりと柚子の皮だけでもいい。それぞれ細かく切っておき、干し大根の上に乗せくるくると巻く。切り損ねて半月になったものも、2枚を組み合わせて1枚にすれば問題ない。これをたこ糸か太めの木綿糸でしばって“いかだ”を作る。これを吊るして1〜2日干す。干し上がったら糸から外し、甘酢に漬ける(vol.22『甘酢があれば』参照)。翌日から食べられ、冷蔵庫で1ヶ月ほど保存出来る。

窓辺でいかだが揺れる様子を見ていると、このまま甘酢に漬けないで眺めていたくなる。そうもいかないからまた、せっせと大根を薄切りにするのだ。

写真&文 中村 宏子