青々と青梅から始まり、そろそろ梅干しにも向くような熟した梅も出回る季節になった。今年の梅仕事は、5月20日に山の友人から頂いた青梅で梅シロップ(保存瓶に梅と同量の好みの砂糖を入れておくだけ)を仕込んだところから始まった。梅干しは黄熟した梅が出回る6月下旬まで待とうと思っていたのに、2週間ほど前に我慢出来ず500gだけ梅を衝動買いし、ジッパー付き袋で漬けてしまった(梅干しの漬け方は、vol.17『目黒の梅で梅干し』参照)。毎年多めに梅干しを漬けるのだが、こんなふうに小さく漬けるのも初心に返っていいなぁと思った。

黄色く熟した梅は梅干しばかりでなく、ジャムにするお楽しみもある。傷や斑がある故に、梅干しにはなれなかった梅の傷んだ部分を取り除いて使用するのも良い。梅干しにするくらいに(それ以上に?)黄色くなった梅500gはよく洗い、なり口の黒いヘタを竹串等で取る。梅は酸がとても強いので、アルミや鉄の鍋は避け、ホーローかステンレスの鍋に梅を入れ、かぶるくらいの水を入れる。沸騰したらすぐに茹でこぼす。ここへ350gのビートグラニュー糖(梅の重量の70%)を入れ、砂糖が溶けたら火にかける。中弱火で10分ほど煮る。煮ている間にびっくりするくらいのアクが出るので、こまめに別の器に取り除く。このアクの器の中でも、上半分はアク、下半分は梅の果汁の層になっているので、アクを捨て梅果汁を鍋に戻すと無駄が少ない。粗熱が取れたら、うらごししながら種を取り除く。煮沸消毒した保存瓶に入れて出来上がり。

熟した梅の、甘くて酸っぱい深い味わいのジャム。梅は果物だったんだと、改めて思い知る。パンやヨーグルトはもちろん、しょうゆや酒と合わせて、鶏肉、豚肉、青背の魚にも合う。

写真&文 中村 宏子