スナック菓子は買わない、と厳しいお母さんのような事を言ってみる。確かにそそられるフレーバーはたくさんあって、実際に食べてみると驚きの破壊力、想像していたよりずっと強烈だ。後を引くどころではない、脳内に快楽物質が出るように上手く作られているなぁと感心してしまう反面、その麻薬感が怖くもある。それに比べたら、手作りクラッカーは地味だけれど、手に負える範疇の真っ当な味。そこにだって結構可能性はあるんじゃないかと思う。

ボウルに薄力小麦粉80g、全粒粉20g、塩小さじ1/2、オリーブ油大さじ2を入れ、油が全体に回るまで混ぜる。ここへ水を最大で大さじ2加えるのだが、様子を見ながら少しずつ加えて行く。これがプレーン味。水を加えたらなるべく練らないように、ゴムべらやスプーンなどでざくざくと切るように混ぜる。少々ムラが残るくらいで混ぜるのを止めると、サクッと軽い仕上がりになる。

最初の段階で、刻んだローズマリーやイタリアンパセリを小さじ2ほど加えたり、カレー粉を小さじ1+黒こしょうを好みで加えたりすると、全く違った味わいになる。好みで全粒粉の割合を増やしてもいいし、オリーブ油ではなく、太白ごま油や米油にしてもいい。スパイス(クミンやキャラウェイがおすすめ)を散らしたり、ごまや粉チーズ等を加えれば、バリエーションは広がっていく。

生地をラップの上に置き、もう一枚ラップをかけ、麺棒で5mm厚さに伸ばす。フォークを使って多めに穴を開け、好きな大きさに切るか、抜き型で抜く。コップの口で抜いても大きく出来て楽しい。オーブンペーパーを敷いた天板に並べ、160℃に温めたオーブンで25分ほど焼く。乾燥剤と共に保存する。

思い立ったら、生地を寝かせる事もなくすぐ作れるおやつ。もちろんお酒のおつまみにも丁度いい。刺激はそれほど強くないが、知らず知らずに手を伸ばしている。

写真&文 中村 宏子