みなさんは、自分の命にどれくらいの人が関わっているか、考えたことはありますか?

どんな命にも、それぞれに直接的には2人の男女が関わっています。
その2人の男女にもそれぞれ、2人の男女が関わっています。つまり、ひとつさかのぼると4人の男女が自分に関わっている。

また一代、そのまた一代とさかのぼっていくと、8人、16人、32人・・・と増えていくわけです。そうやってさかのぼって十代さかのぼっていくだけで、1000人を超えるのです。二十代前までさかのぼって計算していくと、なんと100万人を超えます・・・。

100万人を超える男女が私の命に関わっていて、そのうちの誰一人欠けても、自分は存在できなかった。・・・でも今、皆さんは存在している。凄い確率で、私たちはここにいる。

では、ひとつの命が生まれるまでの軌跡について。

女性の身体の中で、卵子が成熟し排卵を迎えるまでには100日ほど要すると言われます。そしてたったひとつの卵子を月に1度、女性は大事に大事に排卵します。

男性の身体の中で精子がしっかりと成熟するまでには、70日ほどかかると言われます。1回の射精での精子数は1億~3億と言われます。3億分の1の精鋭と卵子が出会うのです。

卵子は女性の46ある染色体の23個の染色体を携えています。精子も男性の46ある染色体の23個を携えてやってきます。その23個と23個の詰まった核と核とが、受精卵の中で、なんとも仲睦まじく隣り合うのです。そして融合します。その様子は本当に本当に美しいのです!!!

そして、まったく新しい46個の遺伝情報を持った生命体が誕生します。たったひとつの受精卵は、赤ちゃんとして生まれ出てくるころには3兆個もの細胞を持っています。そしてその、どの細胞をとって見ても・・・爪も髪の毛も、胃の粘膜をとってしても、その遺伝情報を持っているのです。

わたしのどこを切り取っても、わたしという情報があふれ出すのです。

命の力って凄いんです。

ヨーガの勉強はもちろん、生理学や解剖学を勉強すればするほど、自分という人間の命の奇跡に圧倒されます。

私たちの魂は今日、この身体を使って生きたがっています。今日在りたがっています。

「生きること」も「死ぬ」ことも、誰しもに平等に与えられている。不公平に見えるときもあるけれど、生も死も全員に与えられている。命の形もそれぞれに、与えられている。

沢山の男女の営みの末に私が存在していて、その出現(誕生)までの道のりすらドラマチックで、明日死んでしまうかもしれない確率よりも、むしろ今日ある命の確率のほうが圧倒的に奇跡的。

今日を生きたがっているそのパワフルな魂の意志に気づいていますか。

聖者ラマナ・マハルシ曰く、
「アートマ・スワルーパ」(真我の本性・真我の顕現)

「わたし」の体、「わたし」の心、「わたし」の命。
体も心も命も、「わたし」の本性ではないといわれます。
「わたし」(真我)は、だた「在る」のだそうです。

どんな命の形であれ、この世に生まれ出た命は、この宇宙が必要としたから生まれたと言います。この宇宙には必要なものしか現れないと。

死んでしまうことの恐怖より、今日生きていることの奇跡に感動してみる。
誰も明日を保障されていない。今日を生きてみる。
今日の命の力を味わってみる。今日、生きている命の力を発揮してみる。

「今、ここ。この瞬間。」
ヨーガでは、先生たちがよくおっしゃいます。

未来に目標を置いた努力は、結果次第で苦しみを産む。今日の行いの積み重ねが未来を築いていく。未来や結果は副産物だとヨーガは教えてくれます。

命は今日を生きています。もの凄い確率で生きています。
自分だって、周りの人だって、両親だって、子どもたちだって。

だから、今日伝え、今日愛し、今日抱きしめて。
今日を生きたがっている命の力を信じて、今日、心を込めて生きてみませんか?

存るものは、つねにそこに在る。
あるがままのあなたで在りなさい。それ以上何も必要ない。
ひとたび生まれたなら、あなたは何かに到達する。
そしてそれを到達したなら、再び戻ってくるのだ。
あるがままに在りなさい。        
―― シュリ・ラマナ・マハルシ


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文 ヨガインストラクター ミヅホ/編集 七戸 綾子