子どもの成長とは著しいもので、1~2週間会わないだけで驚くほど大きな変化を遂げていることがあります。毎日一緒に過ごしているお母さんは気づかないかもしれないけれど、週に一度クラスでの子どもたちとの再会は感動すら覚えます。

子どもは、毎日のルーティンの中でたくさんのことを繰り返し繰り返し学んでいます。
・スプーンをつかむ
・マグを自分で、両手で持つ

 ・・・少し進んでくると、
・スプーンで物がすくえる
・コップから飲む
・ちっち(おしっこ)が出たことを伝える

「ちっち」とおしっこが出たことを教えてくれるようになると、そろそろオムツが外れるのかな?と親は期待を持って、トイレに連れて行き、便座に座らせてみる。一度成功すると、また次も出来ると期待して、必死になって「おしっこ大丈夫?」と何度も詰問するようになる。

最初は優しくうながせていたのに、だんだん口調は強くなっていく。そのうち、子どものほうも、遊んでいる最中に「トイレ行こう!トイレ行こう!」と水を差されることに嫌気が差し、トイレは絶対に行きたくない場所へと変わる。

なんだってそうなんです。スプーンを上手に口に運べたら、大人は次も出来るもんだと思ってしまう。コップでひとりで飲めるようになると、同時にこぼさないことが条件になってくる。子どもだからと始めはおおらかに見ているつもりなのに、こぼされるとついつい「も~う!!」と表情を変えてしまう。

子どもが成長することによって、親のほうが少しずつ楽になるような気がするけれど、その分上手にやってもらえないとかえって手がかかる。気づけば眉間にしわを寄せて対応している毎日。もしかしたら、期待をかけすぎてしまっている親のほうの仕切り直しが必要かもしれません。

自分を振り返ると、大人になった今でも、私たちは毎日失敗を繰り返しているかもしれません。あぁ、今日はなんだか怒りすぎちゃったのではないかな?・・・寝顔を見つめながら反省する「失敗」を多少なり、みんな持っていると思います。しかしその「失敗」という自分自身の経験によって、「自分」を知り、気をつけようと学んでいくことのほうが身になっています。

失敗ってとても大切な経験。子どもは工夫の天才です。うまく出来ないことを放っておこうなんてしません。繰り返し繰り返しチャレンジしながら、もっとうまくスプーンを扱いたいし、こぼさずにお茶を汲みたいし、思ったところにボールを投げたい。トイレもオムツが気持ち悪いと感じるようになれば行きたいし、お気に入りのパンツが濡れてしまうことが嫌だと思うようになる。自分で経験していく。それは、繰り返し繰り返しなんです。

正直、私は一人目育児の時は口出し手出しの鬼だったように思います。子どもが失敗しないように何でもかんでも手を出して口を挟んで、上手くやれるように手伝っていました。だから何度も何度も同じように出来ない娘がいたし、進んでやりたがらない娘でした。

ですが 2011年の震災を経験して、自分がいつこの子の前から消えてしまうかなんてわからないんだな・・・と思ったとき、この子に手を貸すことが私の仕事ではないんだと気づきました。手を貸すことよりも、この子が自分で立ち上がり歩いていけるように育てなくてはと思いました。そう思ったときから、失敗することの大切さに気づき、その失敗の繰り返しが、愛しさにも変わったきっかけにもなった気がします。

毎日の生活の中で、繰り返し繰り返し の連続は「面倒くさい」作業です。本当に疲れてしまうこともあります。でも、その当たり前の中には毎日、小さなドラマがたくさんあります。子どもは少しずつ、昨日よりも、前よりも、成長しています。週に一度会うとびっくりします。同じ繰り返しの中に、小さな経験の中に、今日のこの子を見つけてあげられたら楽しいですよね。疲れてしまったときこそ、力を抜いて、繰り返しの日々を映画を見るようにじっくり眺めてみてください。

今我が家のカレンダーに、マザー・テレサのこんな言葉が書かれています。

“If you want to love,
you should learn how to forgive.”

愛したいなら、まずゆるすことを学びましょう。


マザーの言葉は、もっともっと深く、もっともっと大きな意味を持っているに違いありませんが、私の毎日の小さな小さな出来事にさえ意味を持つ言葉になっています。

子どもの失敗に対しても、それをゆるし受け入れることが、今私自身の経験になり、私を育ててくれている。子どものためなんて言いながら、すべて自分自身のためでしかない。

失敗の繰り返し。なんだか愛しく思えてきませんか?

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文 ヨガインストラクター ミヅホ/編集 七戸 綾子