風をつかまえて進め

順風をつかまえて進め
心が踊るほうへ 弾むほうへ 進め

心臓が飛び出しそうなほどドキドキした
抑えきれないぐらいニヤニヤした
涙が流れた 言葉を失った

それぐらい心を揺さぶられて
自分にとって意味がないなんてことあるものか

風は一瞬 見えない合図
素直に舵を切らなくちゃ


凪の日もある
だらしなく垂れ下がった帆のように
何もしたくない日だってある

それでもヨットが壊れたわけじゃない
感動できない人になったわけじゃない

はりきって航海を始めたあの日 確かに力強い風を受けたんだ


そよ風をつかまえて進め
心が揺れるほうへ 傾くほうへ 進め

山頂で食べたおにぎりの味 真夏のかき氷
お風呂に入ったときの極楽なため息
友だちとおなかが痛くなるほど笑って
時間を忘れて好きなことをして

じんわり感じる至福のときに優劣なんてあるものか

風は一瞬 見えない合図
よそ見してたらもったいない


乱気流の日もある
他のヨットに追い越されて
急につまらなく思えてくる日だってある

それでも進みたい気持ちは変わらない
あたりまえの日々にも心地いい風は吹いている

振り返って遠くに岸を臨む今日 小さな風を集めてここまで来たんだ


風をつかまえて進む
どこまでも進む

今この瞬間に吹いている風をつかまえて

***

ことばをお聴きのみなさまへ

こんばんは。第二夜のキーワードは「生きている感動を積み重ねる」でした。

あなたの「順風」「そよ風」はなんですか?
最近、心が動いたことはなんですか?

大きくても小さくても、るんるん、でも、むかむか、でも。あなたの感じた「風」について自分のために書き出してみませんか。そして、よかったら私たちにも聴かせてください。おたよりを募集してます。

さてさて。第一夜「可能性を広げる」に届いたおたよりをご紹介します。

◯よかれと思って用意したこととかが相手に必要とされなかったときに、自分で勝手によかれと思っただけなのに、裏切られたと感じてがっかりすることがあったなあ、と思った。

息子がピアノを習い始めて『わりと才能があるかも』と先生に言われ、『まさか私の子どもなのにそんな才能があるわけないしねー』と友だちに話したら、親が勝手に上限を決めるのはおかしくない? と言われました。
――なおごろうさん

◯よかれが合う人同士が友だちなのかなと思いました。
――ヤンソンさん

◯言葉はヴェールをかぶっている、と感じることがよくあります。発する人によって感じが変わるし、言い方によって印象がまるで違う。だからこそ、勘違いのないきれいな言葉を話したいと思っています でも、言葉を受け取る時にかかっているヴェールの中に手を入れて探ってみると、その言葉の真ん中の部分に手が届いて、その言葉の本当の意味を感じることができるように思います。

これって本当は、言葉のヴェールの中を探っているのではなく、自分の中を探究しているのかも。

こう思いたい、こう感じたいって私は自分が気持ちよくなりたいワガママな人間です。でもそのワガママに気づいた時、「プッ」と「クスッ」と笑ってしまって、それから先に行けるんじゃないかと。ワガママだからこそ成長できるんじゃないかと。

人間て言葉を持っている不思議な動物ですよね。ワガママで勝手で自分達が賢いと思いあがっていて、それでいて温かい心を持っている。そういうことに気づいた時に、自分の中心とつながれた時に、いろんな人の温かい部分とつながっていけるのかなぁ、と思います。
――June blossomさん

おたより、ありがとうございました。ヨギーが大切にしている「美しく生きる」という大きなテーマを、19の小さなキーワードで、さらに小さな日々のつぶやきのような言葉で感じてみたい。そんな想いから、おたよりを募集しています。

「可能性を広げる」という同じひとつのキーワードから、人それぞれの連想が広がって。正解、不正解ではなくて。ちなみに、内田松里さんの絵も、ことばを読んでからイメージをふくらませて描いてくださっています。

ひとりひとりの言葉に、ちょっとずつ入っている人生のかけら。小さなかけらが集まって、だんだん大きな絵が見えてくるかも。そんなこんなを、このぺたっとした機械の白い画面に散りばめて、作品みたいに展示していけたらなと思います。

今月はどんな1ヶ月でしたか?
いろんな人のいろんな日々に「わたしにかえる時間」がありますように。

イラスト 内田 松里/文 古金谷 あゆみ