近年、ヨガをしている人は増加傾向にあり、月1回以上ヨガをしている人は約590万人(人口の5%、20人に1人)と推定されています。*
(*「日本のヨガマーケット調査2017年」より)

ヨガ人口が増える一方で、ヨガの練習中にケガをした経験がある人も増えていることが報告されています。からだや心の健康のために実践しているヨガで、ケガをしてしまうのはとっても残念なことです。

ケガといっても、突発的なケガや長期にわたり無理なからだの使い方の繰り返しによって生じるケガがあります。

また、ケガをしやすい部位としては、手首や膝、首、腰、肘、肩、太ももの後ろなどが挙げられますが、ヨガは全身を使うため、体のどの部位にもケガは起こりうると考えられます。

どのような場面で、どの部位をケガしてしまったのかは、様々な場合がありますが、ケガの特徴パターンを大きく分けると、2つに分けることができます。

1.ある部位に必要以上に圧がかかってしまったことで痛める場合(圧迫系)
2.ある部位が必要以上に伸ばされて痛める場合(伸張系)

【1】ポーズのアライメント(手足の配置、配列)が、
各関節にとって正しい位置で動けているか、気をつける

1.の場合(圧迫系)は、主に関節周囲で起きることが多く、膝や首、腰などの疾患で多く挙げられます。一方、2.(伸張系)の場合は、筋肉や靭帯などで起こりやすく、太もも裏の筋肉や肩まわりの筋肉・靭帯で多くみられます。

ヨガの練習中、もしくは長期にわたる間違ったポーズの繰り返しによって、このようなケガを予防するために、いくつか気をつけたい点を挙げてみます。

1.2.いずれの場合も、まずはポーズのアライメント(手足の配置、配列)が、各関節にとって正しい位置で動けているか、気をつけることが必要です。関節にとって、曲げ伸ばしが自然で負担のかからない方向、角度があります。

例えば、ヨガの代表的なポーズ『英雄のポーズⅡ』の前膝の曲げる方向は、つま先の方向と同じ方向に曲げるのが基本となりますが、内側に入ってしまう方が多くいます。

膝関節は、内側に入りながら曲げることを繰り返すことによって、関節の外側に圧迫のストレスがかかり、関節内の軟骨や半月板を痛めやすくなります。反対に、内側は伸張されるストレスがかかるために、太もも前面の筋肉が付着している場所が伸ばされて炎症を起こすこともあります。

ここで気をつけたいことは、教科書的なポーズの形が絶対的なものではなく、個人のケガの既往歴や骨格の特徴に応じて、ポーズのアライメントを変化させた方が良い場合もあります。

例えば、意識することで膝をつま先方向へ曲げようと修正できる場合は問題ありませんが、前脚の股関節の開く角度が何らかの理由で不十分な場合は、修正しようと意識しても難しくて、膝が内側に入ってしまう場合があります。その場合は、前後に開く両脚の幅をやや狭くしたり、後ろ足の向きをやや内向きにすることで、前膝をつま先方向へと真っ直ぐに曲げやすくなります。

【2】ポーズの土台となっている場所(床と接する部位=基盤)を
しっかり安定させる

英雄のポーズを例に挙げましたが、他の様々ポーズにおいても、ケガを予防するために優先すべきアライメントのポイントがあります。痛みや気になる部位がある場合は、クラス前にインストラクターへ相談することをお勧めします。

ポーズのアライメントが整ったら次は、どのようにしてそのポーズを深めていくかが大事になります。

前提として、ヨガでは呼吸を大切にします。チェレンジ的なポーズをしている時は、呼吸が止まりがちになります。呼吸が止まると、からだは緊張状態となり、筋肉は硬くなってしまいます。呼吸が気持ちよく続けられているか意識しましょう。

さらに、ポーズの土台となっている場所、床と接する部位を、ヨガでは基盤と呼びますが、その基盤となる部位をしっかり安定させることを意識して下さい。基盤が安定しないと、からだ全体が不安定となり、そのポーズで伸ばされるべき筋肉も、不安定な状態で伸ばされてしまうため、2.の筋肉や靭帯が伸ばされて痛めてしまうケガの要因となります。

ヨガでお馴染みの『三角のポーズ』や『半分の猿神のポーズ』では太ももの裏側にあるハムストリングスという筋肉が伸ばされますが、どちらものポーズも床につく基盤となる部分を意識的に安定させることで、安全に太ももの裏側を伸ばすことができます。

【3】ポーズを深めていくときは、ゆっくりとした動きで
気持ち良く呼吸ができるところまで

また、ポーズを深めていく範囲は、ゆっくりとした動きで、気持ち良く呼吸ができている範囲のところまでに留めておくことをお勧めします。

筋肉の中には『筋紡錘』という筋肉の「長さ」を感知するセンターのような働きをする器官があります。筋肉が急激に伸びすぎると、無意識的に伸張反射という筋肉を収縮させるような防御反応を示し、筋肉が伸びすぎて損傷することを防ぐ働きがあります。

急な動きで筋肉を伸ばすことは、逆に筋肉を緊張させることにもなりますので、伸びているところを意識しながらゆっくりと深めて下さい。

また痛みを生じるまで伸ばし過ぎることも、筋肉の緊張状態を引き起こします。心地よくポーズをキープできる範囲を心がけて下さい。

適切なアライメント、そして心地よい範囲でのポーズを深めていくためには、ブロックなどの道具(プロップス)を利用することもお勧めします。

クラスを受ける前に、すでにケガをしている場合や気になる部位がある時は、クラスが始まる前にインストラクターへ、その旨を伝えておくことが自分のからだを守るためには大切です。 

また、クラス中は周りの人の動きやペースなどが気になってしまうこともあると思いますが、ヨガでは自分のからだや心と向き合うことが一番大切ですので、自分にとって心地の良い動き、ペースで楽しみながらクラスを受けることを大事にして下さい。

ケガをしないヨガの方法 3つのポイント まとめ

【1】ポーズのアライメント(手足の配置、配列)が、各関節にとって正しい位置で動けているか、気をつける

【2】ポーズの土台となっている場所(床と接する部位=基盤)をしっかり安定させる

【3】ポーズを深めていくときは、ゆっくりとした動きで気持ち良く呼吸ができるところまで

文 ヨガインストラクター ユミ/編集 七戸 綾子