暑い日が続く夏。最近では夜になっても涼しくならず、食欲がなくなる、よく眠れない、疲れがとれない…。これといった病気ではないのに身体の不調が続いてしまう……。これはいわゆる「夏バテ」の状態です。

高温多湿の環境の中で体温を一定に保とうと自律神経がフル稼働することで疲弊し、自律神経の乱れを引き起こすことが原因と考えられています。また、室内の空調による冷えや、暑い屋外との温度差も自律神経を乱れやすくしています。

夏バテ対策に、涼しくなるヨガの呼吸法「シータリー呼吸法」をご紹介しましょう。

シータリー呼吸法とは
シータとはサンスクリット語で「熱を冷ます」「冷却」を意味します。冷たい空気を取り入れて、体内の温かい空気を排泄する呼吸法です。

ヨガの呼吸は基本鼻から吸って鼻から吐く呼吸が基本ですが、シータリー呼吸法は口から吸って鼻で息を吐く少し特殊な呼吸法です。

体の熱を冷ます他にも、喉の渇きをやわらげ、神経を落ち着かせる効果もあります。ヨガ発祥の地であるインドは気温が50度近くなることも。そんな厳しい暑さを凌ぐために活用されてきたのがシータリー呼吸法です。

夏バテにシータリー呼吸法が効果的な3つの理由

1.睡眠を助け、疲労回復を促す
「汗が出る」という働きは交感神経が優位になっている証拠です。夏の時期は常に交感神経が優位になり必要以上に体力が消耗されているにも関わらず、なかなか寝付けず睡眠不足になりがちです。

睡眠不足になるとだるさ、疲れがとれないといった倦怠感も出てきます。シータリー呼吸法によって体のほてりや不快感が取り除かれると、副交感神経が優位になり、ぐっすり眠れることで疲労回復を助けます。

2.喉の渇きをやわらげる
熱中症対策として脱水症状にならないためにも、水分をこまめに取る必要がありますが、その際、清涼感を感じる冷たい飲み物をつい取り過ぎてしまい、内臓を冷やしてしまいます。

内臓が冷えると胃腸の働きが低下し、消化力も衰え食欲不振になりがちです。アーユルヴェーダでも「病は胃腸から」と言われ、内臓の冷えは大敵です。シータリー呼吸法は喉の渇きをやわらげる効果がありますので、冷たい飲み物の取り過ぎによる内臓の冷えを防ぎます。

3.暑さによるイライラを鎮める
「息」とは「自らの心」と書きます。呼吸をゆっくり丁寧に行うだけでも自律神経に働きかけることができます。心も穏やかさを取り戻し、夏の暑さによるイライラを鎮めてくれます。

呼吸法の力は偉大です。難しく考えず、まず素直にやってみましょう!

シータリー呼吸法をやってみよう
1)自分の楽な姿勢で座ります。
2)目を閉じて上半身をリラックスさせ、息を全部吐き出します。
3)舌を筒状に丸めます。
4)舌を丸めた状態から「シー」と音をたてながら、ゆっくりと口から胸に息を吸い込みます。
5)肺の中に冷たい空気が満たされるのを感じながら、軽く息を止めます。
6)舌を戻して口を閉じ、喉を締めるイメージで鼻から温かい空気をゆっくりと吐き出します。

これを5~10回ほど繰り返します。

※舌が丸められない方へ
ストローを吸う感覚で口をすぼめて行い、体内の温かい空気を鼻からゆっくりと吐き出します。

番外編~外出先でも気軽にやってみよう~
さすがに舌を丸めた状態の呼吸法を気軽に外出先で行うのはチョット…。そんなときにはシータカーリー呼吸法を。見た目が違うので安心です。

1)舌を下の歯の歯茎に置き、口角を横に広げる。
2)シータリー呼吸法と同様に「シー」と音を立てながら、歯と歯の間からゆっくりと息を吸います。
3)軽く口を閉じ、息を止めて、鼻からゆっくり吐き出します。

このシータカーリ―を行うと顔の表情が豊かになり笑顔が美しくなるとも言われています。

夏を健康で快適にのりきるためにも、シータリー呼吸法をぜひ生活に取り入れてみてください。

***

ワークショップ
夏の疲れを癒すアロマヨガ ~呼吸を深め自律神経を整える~

ベーシックなヨガの呼吸法を学ぶ
呼吸法ベーシックコース

おすすめ記事
ヨガの呼吸法|代表的な6つの方法

呼吸法モデル ヨガインストラクター ヨウコ(写真)・サチ(動画) 文・監修 ヨガインストラクター アヤコ/編集 七戸 綾子