しなやかなカラダを作るには、運動に加え“食事を整える“ことも重要。特に、筋肉の材料である “たんぱく質”は、柔軟性のある質の良い筋肉を育てるために不可欠です。日々のトレーニングが実を結ぶよう、今回は“運動する人にたんぱく質が必要な理由”と、効果的な摂り方をご紹介します。

目次
1.筋肉を育むには、たんぱく質を継続的に摂る。その理由は?
2.カラダを作るたんぱく質の効果的な、“質・量・摂り方”
3.たんぱく質をしっかり摂る、おすすめの食事例

1.筋肉を育むには、たんぱく質を継続的に摂る。その理由は?

カラダを分解すると約半分が水分で、水分を除いた約半分以上がたんぱく質(アミノ酸)で成り立っており、これらが筋肉や内蔵、血液、皮膚、髪、酵素、ホルモンなどさまざまな組織を構成しています。

爪や髪が毎日伸びるように、体内のたんぱく質は合成・分解を繰り返し、絶えず新しいものに生まれ変わっています。その際、古くなったたんぱく質が新しいたんぱく質に入れ替わり、食事から摂り入れたたんぱく質がその材料になります。

当然、筋肉も同じ。

筋肉の場合、特に筋トレのような激しい運動時は筋肉分解が進みやすく、筋トレ後は効率的に筋肉が作られます。このため、運動後の食事でたんぱく質を十分に摂れば、しなやかな筋肉を作り、筋肉量を増やすことができます。しかし、運動しても食事がおろそかであれば本末転倒。筋肉の再合成が出来ず筋肉量は減ってしまうということです。

同じ運動量でも、食事内容で結果は歴然!

このような理由から、ヨガやピラティスの成果を最大限に引き出すためには、筋肉の材料であるたんぱく質を毎日摂り入れることが必要なのです。

ちょっとブレイク!おなかに効くピラティスエクササイズを紹介します。



2.カラダを作るたんぱく質の効果的な、“質・量・摂り方”

(1)質の良いたんぱく質を摂る

たんぱく質は、20種類の“アミノ酸”の集合体。このうち体内で作れず食事から摂るべき9種類を“必須アミノ酸”といいます。

効率よく筋肉を作るには、“必須アミノ酸”をバランス良く含む”良質たんぱく質食品“を摂ることが重要で、”お肉・お魚・大豆製品・卵・乳製品“がこれに該当します。

(2)たんぱく質摂取の目安は、運動量と体重で考える
ヨガ・ピラティスの場合は、体重1kgに対したんぱく質1.0〜1.4gを目安にするとよいでしょう。(※1)というのも、低中等度(200〜400kcal/日の消費)の運動では、たんぱく質必要量は増加しない(※2)ことから、週数回のトレーニングであれば体重1kg=1g程度で十分。ハードなピラティスやトレーニングを行った日はリカバリーを見込んで、少し多め(1.4g/kg)に摂れば問題ありません。
体重55kgの場合、たんぱく質量の目安は55〜77g程度です。

また、たんぱく質は摂りだめできないことから、3度の食事で均等に摂ることが大切です。

1食あたりの目安=たんぱく質20g程度。朝昼夕で60gほど。肉・魚・豆腐などのたんぱく質を片手の手のひら1つ分=約20gのイメージになります。

【たんぱく質量の目安】
・ 納豆1パック(45g):7.4g
・ 木綿豆腐1/3丁(100g):6.6g
・ 牛乳コップ1杯(200cc):6.6g
・ 卵1個(50g):6.2g
・ きな粉大さじ2杯(7g):5.1g
・ ごはん1杯(150g):3.8g

(3)たんぱく質の摂り過ぎは太る?
ちなみに、たんぱく質は1gあたり=4kcal。摂り過ぎは体脂肪が増える原因になります。アスリートでも体重1kgあたり2gを超える量を摂ることはありません。「摂れば摂るだけ筋肉が増える」という訳では無いことを覚えておきましょう。

手軽に摂れるプロテインも然り。「プロテインを毎日飲んだら太った」という場合は、単純に摂り過ぎですので量の見直しをしましょう。

運動後すぐに栄養補給ができるので確かに便利ではありますが、頼り過ぎは栄養バランスが崩れやすくなります。トレーニング前後の栄養補給は、鮭おにぎりやチキンサンドなどの軽食でも十分です。まずは食事の見直しから。プロテインはあくまで補助として考えましょう。

(4)上手な摂り方〜たんぱく質と合わせて摂るべき栄養素〜
たんぱく質は、単一では働けません。代謝をサポートする栄養素を一緒に摂ることで利用効率が高まります。ここではそんな栄養素を3つご紹介します。

1:ビタミンB6
筋肉をはじめ、細胞や神経伝達物質の合成などに働きます。
食材:牛レバー/鶏ささみ/マグロ/カツオ/にんにく/アボカドなど

2:亜鉛
数100種類以上に及ぶ酵素の補酵素。たんぱく質やDNAの合成、細胞の新陳代謝に関わります。
食材:魚介類(牡蠣・あさりなど)/肉類(特にレバー)/大豆製品/わかめ/種実類(ナッツやごま)

3:炭水化物
エネルギーが不足すると、筋肉を分解して不足分を補います。つまり、筋肉量が減り、代謝が落ちやすくなるということ。筋肉量を維持しつつ脂肪燃焼したいなら、“炭水化物を適量摂る”ことが大切です。
食材:ごはん/うどん/芋類/豆類/果物など

カラダを作るには、上記以外にもさまざまな栄養素が関わります。
「肉、魚などのメイン料理/ご飯などの主食/野菜小鉢や汁物」のような定食スタイルの食事は、多くの食材から満遍なく栄養を摂れるので、ぜひ意識しましょう。

3.たんぱく質をしっかり摂る、おすすめの食事例

食事では “肉・魚・卵・大豆や大豆製品・牛乳などの乳製品”を満遍なく摂りいれること。ベジタリアンやマクロビ愛好家の方は、豆類や全粒穀物を積極的に摂りましょう。特に豆腐や豆乳、おから、枝豆、レンズ豆、がんも、玄米、ナッツ類などは、たんぱく質を多く含んでいます。

<食事例>
■朝食:納豆たまごご飯/蒸し野菜/豆腐とわかめのみそ汁/いちご3粒
エネルギー量 487kcal/たんぱく質量 19.4g

■昼食:鮭とほうれん草のクリームパスタ/コンソメスープ/サラダ
エネルギー量 643kcal/たんぱく質量 27.2g

■夕食:よせ鍋(鶏もも肉、タラ、つみれ、野菜)/〆の雑炊(たまご入)
エネルギー量 448kcal/たんぱく質量 26.4g

■間食:ナッツ&ヨーグルト/みかん1個
エネルギー量 125kcal/たんぱく質量 4.2g

総エネルギー量 1703kcal/総たんぱく質量:77.2g
※文部科学省 日本食品標準成分表2015年版(七訂)より算出

<小腹が空いた時に!レッスン前後におすすめの軽食>
持ち歩き可能な軽食では、たんぱく質が豊富で栄養価の高いものをセレクトしてみましょう。

ゆで卵/納豆巻き/おにぎり(鮭やそぼろ、しらす、枝豆、チーズを使ったもの)/サンドイッチ(卵やチキン、ハムサンドなど)/グラノラバー/バナナ/ヨーグルト(特にギリシャヨーグルト)/豆乳/ナッツなど

最後に、筋肉を育てるには、睡眠も重要です。運動で筋肉を刺激し、食事で筋肉の材料を補給、良質の睡眠で筋肉を育むことができるのです。「運動×食事×睡眠」をセットで揃えるよう心がけましょう。

自分をより楽しむために、さっそく今日から食事を見直してみませんか?

<参考・参照>
※1 鈴木志保子「スポーツ栄養マネジメント」日本医療企画 2011年
※2 厚生労働省 たんぱく質

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文 管理栄養士 衞藤 敬子/編集 七戸 綾子