― 今日はヨギー・インスティテュート(以下インスティテュート)のマネージャーである澤田公子さんと、エグゼクティブ・ディレクターのキミ先生に、インスティテュートについてお話しを伺いました。インスティテュートでは、「一歩先の自分をつくる認定スクール」というのを理念に掲げていますね。この「一歩先の自分」について教えてください。

キミ 「自分の可能性」という言葉をヨガのクラスでもよく使いますが、ヨガでは誰しもが完全なものを持っていると考えます。だからこそ、自分の可能性は「ここまでだ」と自分が思えばそこまでだし、「どこまでも」と思えばどこまでもあって……

「可能性」というとあまりに概念が大きすぎてわからないねという話になったんです。そこで「一歩先の自分」と言ってみると、自分が成長するプロセスを見守っていくときにわかりやすいし、ビジョンを持ちやすいのではということになりました。

人間も万物も常に成長し、進化し続けていますよね。私たちも一歩ずつ、一歩先の自分へ向かっていけたらと思いました。

澤田 スタジオ・ヨギー(以下ヨギー)らしさって、がんばれば届くような、ちょっとだけ先を常に走っていたい、みなさんと一緒に成長していきたいという感じなんじゃないかなと思うんです。

キミ 歩いていて大きな一歩を踏み出すときもそうだけれど、あまりに大きな一歩を踏み出そうとするとバランスが崩れてしまいますよね? その一歩が大きすぎないほうがバランスを崩さずに踏み出すことができて、歩き出しやすいのかもしれない。

澤田 そうですね。みなさん働いていたり家事育児をしていたり、ヨギー以外にも生活があると思うのですが、その生活の中に何か少し輝きや好きなことを見つけられるような、ヨギーはそんなきっかけの場になれたらと思います。

― インスティテュートで学ぶのは、いわゆる習い事とは少し違うようですね。

キミ はい。たとえば、楽器のお稽古でまず技術面を磨いてくとしますよね。技術の向上だけを目標にすると、技術が上がったときだけ幸せだということになってしまうから、幸福感を味わえる時間が短いと思うんです。それは仕事も家庭生活もある24時間の、ごく一部でしかない。

ヨギーでは、インストラクターになるために勉強したりアーサナを練習したりして技術を磨いたとしても、そこで終わりません。「日常の時間に幸福感が増す」というところをゴールにしています。仕事や家族の問題に直面しても、自分を安定させることができれば幸せな時間が長くなりますから、普段の自分をどう安定させるかはとても大事です。インスティテュートで学ぶのは、そうした「いつも幸せでいる」ための何かではないかと思います。

受講生の方からも同じような声をいただいたことがありますよ。「ティーチャー・トレーニングコースの宿題を通して自分と向き合うことができた。人生観が変わり、とても癒されたので、インストラクターを目指していない人にもすすめたい」とのことでした。そのアンケートを読んで、ああ、学ぶってそういう要素があるんだなと思いました。私は「本来あるよさに目を向け尊重すること」というロハスインターナショナル(スタジオ・ヨギーの運営会社)の理念が大好きなのですが、それに通じるものがありますよね。

澤田 ベーシック・トレーニングコースをはじめとするさまざまなコースを修了して、転職や結婚など人生のターニングポイントを迎える方もいらっしゃいます。「私は本当はこうしたかったんだ」と気づいたときには、すごく大きな喜びが湧き上がります。自分と向き合って本気で生きるというか、自分が本来行きたがっている方向に向かって一歩を踏み出すことで、人によってはそれが人生の転機になるのかもしれませんね。

- レギュラークラスでも何かに気づくことはありますが、インスティテュートのトレーニングコースや講座のほうがより深いことに気づくのでしょうか?

キミ 深いですね。トレーニングコースや講座には、レギュラークラスにはない講義の時間や、宿題があります。たとえばヨガのコースでは、日常生活の中で自分の視点を変えるという日記形式の宿題が出ます。同じように街を歩いていても、おしゃれな人はファッションを見るし、カフェが好きな人はカフェを見る。自分が何を見ているかということを意識して毎日過ごしてみると、一週間の質が全く違ってきます。コースを卒業した後に、仲間同士で自主的に宿題に取り組む方々もいるほどです。

澤田 私が解剖学を学んでいたときもそうでした。たとえば人が歩く姿を見て、筋肉がどう動いているかというようなことをつい見てしまうんです。いつもの視点とは違う角度ですね。「やっぱり人体ってすごいな」と感心したりして(笑)。どっぷり何かにはまっているときの視点って、本当におもしろいですね。

キミ まさにそのとおりで、解剖学なら解剖学、プラーナーヤーマならプラーナーヤーマという窓を通して日常生活を見てみると気づくことがたくさんあります。そういう窓はいくらでもあって、それぞれ自分の好きな窓から自分の輝きに気づくことができたらいいですよね。トレーニングコースだけでなくオープン講座も、いつもみなさんが自分の可能性に気づけるものであるようにと願っています。

― オープン講座とは?

キミ オープン講座は、インスティテュートのトレーニングの一部を垣間見ることができるような講座です。先ほどお話しした「自分の輝きを見つけられるような講座」という位置づけで、毎回内容の異なるワークショップとは違い、同じ内容のものを定期的に開催しています。

澤田 コースの一部を小分けにしたのがオープン講座で、トレーニングコースの受講生と一緒に、興味のある講座だけを気軽に単発で受講できます。このコースではこういうことを勉強するんだなということがわかりやすいと思います。以前はレギュラークラスかトレーニングかという選択しかできませんでしたが、オープン講座はお試し受講や復習のための再受講としてもおすすめです。

キミ オープン講座の種類は40種類ぐらいあります。たとえば、ヨガ、ピラティス、ビューティ・ペルヴィスの3つに共通する講座としては、解剖学の基礎を学ぶ「ウェルカムアナトミー」。ピラティスの講座では、歴史を学ぶ「ピラティスはじめて物語」や少人数制の「エクササイズクリニック」。ビューティ・ペルヴィスの講座では「ペルヴィス®・ウォーキングを解剖学から学ぶ&実践編~O脚X脚の改善~」「整顔せいがん」のような実践的な内容もあります。

ヨガも「女性のための自律神経とヨガ~ホルモンリズムとのつきあい方~」といった日常生活に役立つ内容のものから「指導に役立つアジャストメント~効果的なポーズの見かた・触れ方~」など指導者向けのものまで、バラエティ豊かです。アーユルヴェーダの講座やマタニティに特化したクラスもありますよ。

― インストラクターを目指す人だけでなく、誰でも自分を磨くために学べるということですね。

澤田 はい。レギュラークラスから一歩踏み込みたい、学びを深めてみたい方のために、2時間のものから1dayタイプのものまでさまざまな講座を用意しています。たとえば「アーユルヴェーダ」は「基礎編」「生活編」「食事編」という3つの講座に分かれていて、それぞれ2時間です。興味のあるテーマだけを気軽に受講することができ、日々の生活をより健康的に見直すヒントが得られます。逆にじっくり学びたい方には「覚えておきたい4つの呼吸法」など1dayタイプの講座もあります。呼吸法や瞑想に ついてゆっくり学ぶことで休日のリフレッシュにもなりますし、目的に応じて選べるのも特徴です。

キミ 今日はいろいろとお話ししてきましたが、初心者でもインストラクターでも、トレーニングコースでもオープン講座でも、私たちの想いは同じです。みなさんが何かを学ぶことによって学ぶ喜びや自分のよさに気づいてほしい。そして、幸せになってほしい。そんな気持ちでインスティテュートという学びの場を育てています。

文 山祥 ショウコ / 編集 古金谷あゆみ/「スタジオ・ヨギーのある生活」vol.24より