先日クラスの中で、おっぱいについての相談を受けました。
「悩む事でもないとは思うんですけど・・・、」
という前置きをして話し始めてくれたママさん。

離乳食を食べてくれる時とくれない時があり、結局おっぱいをあげてしまうんだけど、おっぱいをあげてしまうから離乳食が進まないのではないか・・・と毎日葛藤していると話してくれました。

食べてくれなくて時間だけが過ぎてしまうことに、不安と苛立ちは募りますよね。たくさんの人の悩みだな~と思いました。過ぎてしまえば、「悩む事でもない」と思えるけれど、私もその只中にいたときは、四六時中頭を悩ませる事柄でした。だから、まず、「悩む事でもないとは思うんですけど・・・、」なんて断らず、
「この悩みを抱えてる自分」がいることを正直に認めてあげてよ~というところから話しました。「こんなことで悩んでちゃしょうがない・・・」って端から自分を否定すると、苦しいだけですもんね。いいんです、悩んだ分だけ乗り越えられるんだから。

私も離乳食の進め方について、本当に苦労しました。食に興味がある子は、本当に進みが速くうらやましく思いますが、うちはどう進めているか、何を基準に進んでいる・進んでいないと判断しているかを自覚する事がとても大事です。

私もこれについては、子育て支援士としての勉強をしていく中で気づいた事ですが、6ヶ月を迎えたら離乳食を始めましょう!なんて育児雑誌なんかには書いてあったり、母親講座などでも教わったりするかもしれません。でも、目の前にいるこの子の準備ができているかな?って一番大切な確認をすっ飛ばして始めている人もたくさんいるのではないかと思うんです。

パパやママが食事している様子をジーっと見つめるようになっただとか、よだれの量が増えてきたとか、歯が生えてきたとか、口におもちゃをよく運ぶようになってきたとか、上に挙げた事以外にもたくさんのサインがあるはずなんだけど、そんなことは無視して教科書どおりに進めて行きたがるんですよね、私たち大人って。

私が離乳食が進まなくて悩んでいたときに出会った先生は、私にこう聞きました。
「あなたの子は今日元気?」
私は、「はい、元気は元気です」と答えました。
「じゃあ、なぜ離乳食が進まない事を駄目な事だと思ってるの?」
・・・なんか、「あ、ヨガ的だな・・・」と思いました。

その先生は、こう続けてくださいました。
「一生おっぱいしか飲まない人って周りにいる?人間だから、絶対に食べる事は必要なのよ。だから自分でその時期をちゃんと見つけるよ。赤ちゃんだからってこちらから導かなきゃいけないことなんてないのよ。命は育つ力を持ってるんだから。馬鹿にしちゃいけない。でもだからって、ママ自身が自分の思いを押し殺さなきゃいけないことでもないの。あなたがどうして離乳食を薦めたいかって言うあなたの理由をちゃんとわかってればいいのよ。それはあなたの育ちやポリシーだから。そんなこともわかって、この子はあなたの子なんだからさ~。」

「命は育つ力を持っている」

私の場合は、それをきっかけに、「まぁ、この子が元気ならいいか!」を基準にしてみようと思って、進まない離乳食に目くじら立てるのをやめてしまいました。おっぱいでもいいじゃない。この子は今、おっぱいで一番満たされているんだもの!って。

でもやっぱり、しばらくすると「おっぱいあげてるから離乳食が進まないんじゃないか・・・いっそ、おっぱいをやめてあげなきゃこの子は食に興味を持てないんじゃないか?でも、泣かせながら離乳食あげて食べなくて汚れて・・・結局おっぱいあげちゃって・・・」と悩み始めるんですけどね。私の心って頼りない・・・。

そんな時にも、先輩ママのこんな一言が私を助けてくれました。「おっぱいやめるときは悩まないよ。悩んでるうちはあげてて大丈夫。そのうち簡単に決断できる時がくるから!」

なんとも心強い言葉でした。俄然、元気なおっぱいを提供しようとやる気になりました。しばらくすると歯が生え始めた娘がおっぱいを噛むようになり、乳首が切れて、おっぱいをあげることが痛くて恐怖に思えるようになりました。せがまれるおっぱいタイムが苦痛で、出来るだけおっぱいを休ませるために離乳食を進める事にしました。

寝入りには、必ずおっぱいをあげていたので、どう寝かしつけようかと思いましたが、決断した母は強し。一晩中抱っこしててあげる覚悟で挑んだ断乳は、意外にもあっさり成功し、おっぱいがなくても眠れるようになりました。私は出来れば1歳を過ぎるまではおっぱいをあげたいと勝手に思っていたのですが、その断乳期を境に、おっぱいをせがむこともなくなってしまい、同時に食欲も増していく娘に寂しさを感じたものでした。

「育つ力」はあげるものではなく、その子が持っているものなんですよね。

余談だけどもうひとつ。うちの次女の時の卒乳の話を。上の子が思いがけずあっさり卒乳してしまったので、ふたりめは出来るだけ長くおっぱいをあげようと決めていました。腕に抱いて、おっぱいを飲む姿を出来るだけ長く楽しみたいという、ただただ私の我がままだったんですけどね。2歳まで続きました。1歳で保育園に入ってしまった我が子だけれど、保育園から帰ってきたらまずはおっぱいタイム。そして、寝るときも添い乳をしていつでも飲ませていました。しかし、添い乳したまま眠るとやはり、姿勢が悪く腰痛と背中の痛みが限界に達した2歳のお誕生日の次の日。母は悩みませんでした。

「おっぱいやめるときは、悩まないよ!」
本当だ。私は悩んでいない(笑)。決行の日がやってきました。おっぱいに絆創膏を貼っておくという作戦を立てました。
「絆創膏は痛いところに貼るもの」という知識が2歳児にはあるという知恵をこれまたママ友から入手したからです。

いつものように、ガバっと私の洋服をめくってきた次女。おっぱいに絆創膏が貼られているのを見ると、ハッとなって
「ママ、おっぱい、イタイ?」不安げに私を見上げます。
「う~ん・・・痛い・・・」ちょっと心が痛かったけれど、母は悩みません。どうするんだろう?と娘の様子を伺うと、私の洋服をザっと元に戻すと、だぁ~~~~~っと部屋の中を走り去り、なんと、冷蔵庫の前に行って、
「うううううう~~~~~んっ!!!なんか飲みたい!!!!」って大声を出しました。

たまりませんでした。優しさが、そして「育つ力」が。大好きな牛乳をコップになみなみ注ぎ、一緒に飲みました。可愛くて嬉しくて、寂しくて。泣きながら飲みました。泣きながら牛乳を飲む母を見て娘は、
「ママ、イタイ?イタイ?」勘違いして心配してくれます。もう一気飲みです。

寝る前、絵本を読み終わった後も、娘は冷蔵庫まで走っていって
「なんか飲みたい!」一生懸命おっぱいを我慢する2歳児でした。
3日ほどで、おっぱいを忘れちゃいます。3日後、「もうおっぱい、いいの?」と意地悪にも聞いてみると、「えぇ~?いらない~」と恥ずかしそうにおっぱいから目をそらすんです。

おっぱいを卒業すると、その分、違う世界がまた広がります。でも、もし迷っているんだったら、まだあげてて大丈夫だと私は思います。人それぞれ、親子それぞれのタイミングを、そして子どもの反応を楽しく迎えてあげてくださいね。

文 ヨガインストラクター ミヅホ/編集 七戸 綾子