「つがる」あたりから始まったりんごリレー。そんなリレーの中で「紅玉」は今が旬。12月にもなると店先から姿が消えてしまうので、今のうちにたくさん使いたい。小ぶりで真っ赤、きめが細かく煮くずれしにくく、何よりりんごらしい酸味が特徴。甘さも十分持っているので、お菓子にするには最適な品種だ。近年はたくさんの品種に押され気味で隅に置かれがちだが。

そんな紅玉を使って、型が無くても作れるアップルパイを。まずは生地作りから。ボウルに地粉(とは中力粉の場合が多いが、薄力粉でも可)100g、全粒粉25g、塩小さじ1/4、好みの砂糖小さじ1を合わせ、ここへトランス脂肪酸フリーのショートニング30gとバター30g(もしくはバターだけ、ショートニングだけでも)を加え、スケッパーかカードと呼ばれる道具で、ぽろぽろの状態になるまで切り混ぜる(無ければ冷たい手で!)。冷水50ccほどを用意し、ぽろぽろの生地がかろうじてまとまるくらいに少しずつ加えて行く。気候や粉の性質により、40cc入れたところででまとまるかもしれないし、50cc全て入るかもしれない。

水以外の材料をフードプロセッサに入れ混ぜてから、少しずつ水を加えながらゆっくり回転させまとめてもいい。どちらの方法でも、ひとつにまとまった生地をラップに包み、冷蔵庫で30分以上寝かせる。その間に中身のりんごの準備をする。紅玉りんご2こは皮ごと使うので、よく洗う。清潔なメラミンスポンジで洗うと汚れがよく落ちる。4つ割にしてから芯を取り除き、いちょう切りにする。厚みは3mmくらい。ボウルに入れ、レモン汁小さじ2程度、好みの砂糖大さじ2で和えておく。ここにレーズンやラム酒を加えてもいい。

冷蔵庫から生地を取り出し、ラップ2枚ではさみ、直径25cmくらいの円形に延ばす。ベタベタするようなら、小麦粉を少々ふる。延ばした生地をクッキングシート等を敷いた天板に移し、マリネしておいたりんごを広げる。この時、縁を3cmほど残して内側へ折り返す。好みでシナモンをふってもいいし、下にジャムを塗っておいても。180℃に温めておいたオーブンで35分間焼く。紅玉ならではの鮮やかなピンク色が美しいこのパイは、熱々でも冷めてもおいしい。

写真&文 中村 宏子