4年前のある日まで、弁当を作ることは滅多になかった。たまに弁当持参の機会があっても、皆の前で弁当を広げてみれば、自分の作った弁当があまりにも貧相で思わず隠したくなった。弁当を作り慣れている友人のは本当によく出来ているなぁと感心したものだ。自家製のがんもどきなんかが入っていて(方言で「ひろうす」なんて言っていたのがカッコ良かったなぁ)、お裾分けが美味しかったのを憶えている。

そんな中、ほとんど弁当を作って来なかったわたしにも、まさかの弁当作りのお鉢が回ってきた。突然、夫が弁当を持って行くと言い出した。いつ終わるか知れない残業コースをやめて、給料は下がっても基本的には定時に帰れるコースを選んだのだった。節約する分わたしの仕事が増えたとしても、弁当持参は賢明な選択だと思った。夫の昼食については、何度口論になったかわからない。大抵はファストフードかラーメン、コンビニのおにぎりやサンドウィッチ、カップ麺、、、もうちょっとマシなものは無いのかとケンカの末に、「今日のお昼何食べた?」は禁句になった。

作り始めてみると、毎日の弁当作りはけっこう大変だ。昨日の晩ご飯の残りでもあればまだいいが、無ければ一から作る事になる。すき間が埋まらず、チーズを入れた事もあった。ミニトマトは何か違うと思って入れなかった。朝食用のパンならあるが、弁当用のご飯が無ければ前夜から仕込んでおいたりと、考える事と手間が増える。それでもなんとか続けて来たのは、愛情とかそういうものとは別で、自分が弁当を知るいい機会!と思えたからこそだ。かなりの弁当コンプレックスである。

本当は毎日弁当写真を撮り貯めておいたら、さぞ面白かったことだろう。でも実際そんな暇はない。朝は忙しいのだ。気まぐれに撮った写真は10枚も無い。明日からも、いつもと変わりない、キャラ弁とは無縁の地味な弁当を作るだろう。

写真&文 中村 宏子