ヨガのクラスが始まるとき、終わるとき、いつも静かに座って目を閉じます。
呼吸に集中しよう、でも眠いな、気持ちいいな、この後何食べようかな……
雑念だらけでも、大丈夫? 瞑想って、なに?

瞑想したいのは、なぜ?

どうやったら瞑想できるかを考える前に、ちょっと一歩ひいて自分をみつめてみましょう。瞑想したいのは、なぜでしょうか? 

不思議な体験がしたいから。瞑想がいいと人に聞いたから。それも、立派な理由。

もう少し掘り下げて、瞑想した後どんな自分になっていたいですか? ヨガっぽい神秘的なオーラを放つ自分、いつもおだやかな気持ちで人にやさしい自分……それは「よりよく生きたい」というシンプルな想いにどこかでつながります。

ここでおすすめする瞑想は、わたしたちの人生を自分らしくクリエイティブにしてくれるものです。

頭がからっぽで気持ちいい

たとえば、こんな経験はありませんか? スポーツの試合やランニングに集中しているとき、大根の千切りや編み物などでせっせと手を動かしているとき、時間を忘れる。頭がからっぽで気持ちいい。イライラがおさまってすーっとする。

好きなことに没頭しているときは、瞑想の第1ステップである「集中」の状態です。「集中」から「黙想」「瞑想」へと瞑想のステップは続きます。

瞑想が苦手だと思っている人も「集中」なら経験したことがあるのでは? 集中していて心が静かな状態のときには、自分のおさえていた想いに気づいたりすることがあります。

静けさのなかで自分と出会う

なぜ自分の想いがわからなくなってしまうのでしょう? 

わたしたちの生活にはたくさんの情報があふれていて、それが欲しいかどうかもわからないまま、ほとんど自動的に情報をとり入れています。それほどお腹がすいていないのに、朝昼晩、型どおりに食事をとるのと似ていますね。

すると心のセンサーが曇ってしまい、日々の行動がだんだんロボットのように機械的に、受動的になりがちです。

そのセンサーの曇りをとりのぞき、もっと自由な本来の自分をとり戻すために、瞑想を。静けさのなかで自分の心の声を聴いてみましょう。

The Art of Living
バランスのとれた静かな心、真理を見通し理解する心から発する行動
それは、自分にも他の人にもいつも創造的でプラスとなるものです
――S. N. Goenka

ヴィパッサナー瞑想の指導者であるゴエンカ氏の言葉。

artは芸術・技芸(芸術に関する技術)・方法などを、livingは生きることを意味します。

瞑想とはthe art of living=生きる技。瞑想が人生という芸術作品を創るための技芸だとしたら……わたしの人生は、わたしの芸術作品。一日一日を積み重ねて、どんどん自由に創りあげていくのが人生だということかもしれませんね。

取材・文 古金谷 あゆみ/「スタジオ・ヨギーのある生活」vol.3より